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ワッデン海の鳥類の繁殖状況をマッピングするためにQFieldを活用

By Benjamin Gnep, Schutzstation Wattenmeer e.V.

29.07.2019

目標とフィールドでの制約

デンマーク、ドイツ、オランダのワッデン海は多くの鳥類が繁殖する際に非常に重要です。 Schutzstation Wattenmeerは毎年、ワッデン海の広域三国間の観測および評価プログラム(TMAP)に参加し、ドイツのシュレースヴィヒホルシュタイン州の100を超える観測地点で繁殖する鳥の数をモニタリングしています。 多くの種について、ドイツの繁殖個体数全体のかなりの割合をモニタリングしています。

Schutzstation Wattenmeerのプロジェクトとモニタリングエリアのスケッチ(黄色)
Schutzstation Wattenmeerのプロジェクトとモニタリングエリアのスケッチ(黄色)

大半のフィールドワークは毎年変わるボランティアによって実施され、彼らの多くはあまり経験を持っていません。春のモニタリング期間中の適切な監督は非常に重要です。 同時に、収集されたデータの量は、官僚制度上の大きな課題です。

2018年までは、印刷された紙の地図を使用して現場でデータを収集していました。 アナログなやり方の主な欠点は次のとおりです。

  • GPS測位なしでは、フィールドで方位を定めるのは かなり困難である
  • すべての結果を手作業で集計し、 データテーブルやGISに転送しなければならず、 送信エラーが発生する可能性があった
  • (毎年約18,000件の観測データ が収集される)。

そのため、QFieldのパワー、クラウドストレージシステムの利点、Rの計算能力を使用してデジタルモニタリングワークフローを開発しました。今ではほとんどのタスクはRで完全に自動化されています。全ての場所からクラウドを介してデータにアクセスし、日常的なトピックとともに評価することができています。

データ転送システムのスケッチ。フィールド観測はタブレット上のQFieldに記録され、クラウドストレージにアップロードされる。全エリアのデータにアクセスし、Rスクリプトで自動処理される。
データ転送システムのスケッチ。フィールド観測はタブレット上のQFieldに記録され、クラウドストレージにアップロードされる。全エリアのデータにアクセスし、Rスクリプトで自動処理される。

2019年春に、合計12の異なる観測地点のうち7つのタブレットデバイスを用いてそれぞれ分散させてシステムをテストしました。

プロジェクトの準備

デスクトップコンピューターで、フィールドの方位を知るためのベースマップとして高解像度の航空写真を含むQGISプロジェクトをセットアップしました。モニタリングデータについては、ドロップダウン列と入力制限が事前定義されたカスタムGeopackageデータベースを作成しました。 さらに、事前定義された歩行ルートを追加し、ボランティアをアシストし、モニタリングをさらに標準化できるようにしました。

QFieldインターフェースのスケッチ。データ入力には、カスタムドロップダウンリストと入力制限を持つジオパッケージファイルを使用した。
QFieldインターフェースのスケッチ。データ入力には、カスタムドロップダウンリストと入力制限を持つジオパッケージファイルを使用した。

記録された観測結果は、QFieldに明確にまとめられている。
記録された観測結果は、QFieldに明確にまとめられている。

フィールドワーク後にタブレットからGoogleドライブクラウドにフィールドデータを自動的にアップロードする追加の同期アプリを使用しました。 データのダウンロード、自動バックアップ、データの確認、エクスポートのために、Rスクリプトを作成しました。

データがクラウドと自動的に同期された後、カスタムRスクリプトを介して、すべての異なるエリアからの結果をレビューすることができます。
データがクラウドと自動的に同期された後、カスタムRスクリプトを介して、すべての異なるエリアからの結果をレビューすることができます。

また、収集したデータの視覚的レビューもRを介して可能である。
また、収集したデータの視覚的レビューもRを介して可能である。

QGISの単純化されたフィールドアプリケーションとしてありたいというQFieldのコンセプトは、ボランティアとの作業に非常に役立つことがわかりました。 QGISでのすべてのニーズを含む高度なカスタマイズでプロジェクトをセットアップできますが、フィールドワーカーは基本を理解するだけで済みます。 大きな利点として、不要な変更はQFieldではほとんど不可能ということです。

フィールドワーク

フィールドでの作業中、特に広大な塩性湿地では、印刷された紙の地図に比べてタブレットでの方向付けがはるかに簡単でした。 最後に入力した値を自動的に再利用できるため、データ入力はかなり高速でした。 タブレットでの観察の記録は、紙の地図と比較してほんの少し余分な時間しかかかりませんでした。

The field kit.
The field kit.

The field kit.
The field kit.

評価と今後

2019年春のテスト期間中にソフトウェアの問題は発生せず、すべて予定どおりに機能しました。 評価調査では、すべての参加者が、現地調査ではアナログの紙の地図ではなくタブレットを使用することを好んだと述べています。 カスタムQFieldプロジェクトの使用は、単純明快であると評価されました。

合計で18.000以上のデータポイントがフィールドで収集されました。 自動化されたデータ処理により、オフィスの時間を大幅に節約し、転送エラーを回避しました。 また、タブレットとGPS測位で収集されたデータは、座標精度がはるかに高くなります。 したがって、将来的には完全にタブレットベースのフィールドワークに切り替える予定です。

謝辞

Ernst-Commentz Stiftung、 Europäischer Tier- und Naturschutz Stiftung、 そして、 Adolf und Hildegard Isler Stiftung が我々のプロジェクトを熱心に支援してくれたことに感謝いたします。さらにQFieldとRの開発者にもこのような素晴らしいオープンソースソフトウェアを開発してくれたことに重ねて感謝いたします。フリーソフトウェアのおかげで、このようなプロジェクトを比較的小さな環境保護団体が実施できるのは素晴らしいことです。